

この映画は実話に基づいて制作され,撮影は,実際に石崎誠吾と妻八重子の暮らした山口県萩市の金山天満宮で行われた。のべ撮影日数は13日間。映画予算が潤沢ではなかったこともあり,1日の撮影量も多く,撮影と移動の順番にロケーション撮影を繰り返したそうだ。雨降りの撮影は,地元の消防団に協力して貰ったが,消防ホースからの散水を雨のようにするのは大変だったとのこと。

映画は,山口県内にあるホールで,石崎誠吾が,アルツハイマー症を発病したの妻の八重子を介護した経験について講演を行なっている場面からスタート。石崎が妻を介護したのは12年間で妻の記憶が次第に失なわれていくことが辛かったという。


だが,ある時,石崎は,“八重子は時間を掛けてゆっくりと別れをしている”と考えるようになる。そんな石崎は愛する妻が記憶を無くしていくことを思い出にしようと決意する。
石崎の語り出す言葉から,教師時代に出会い結婚した頃のこと,八重子がよく口ずさむ歌のこと,そしてアルツハイマーを発症してからのことなど,在りし日の八重子との夫婦愛が蘇る…。


しかも,その頃の石崎は胃がんを発病。そんな時に八重子に若年性アルツハイマー病の疑いがあることが分かる。石崎は4度のがん手術から生還を果たすが,八重子の病状は悪化して徐々に記憶を失っていく。音楽教師だった八重子は,自分がコントロールできない状況でも,歌を歌うと機嫌がよくなった。童女のように,無心に赤い椿を並べている姿が印象的だった。


八重子は毎日のように池の橋に立ち,愛する夫の誠吾の帰宅を待ち続けた。介護に苦闘しながらも八重子との時間を愛おしむ石崎。妻に寄り添い続ける12年間は,筆舌に尽くしがたいものがあったようだ。石崎の母や娘夫婦の協力もあったが,大変な介護の日々を送る。そして,八重子は眠るように息を引き取っていく。


主なキャストは,石崎誠吾(升毅),八重子(高橋洋子),石崎の友人で医者(梅沢富美男)だった。私も,認知症になった母の介護を10年余りしたが,まだ在職中だったので,遠方に住んでいる兄や姉とも相談し,特別養護老人ホームのお世話になった。今にして思えば,生前,こうしてあげれば良かったなど,後悔ばかりだ。父がかなり前に亡くなっており,母が亡くなって10年近くになる。ふらっと家を出て行って何処へ行ったのか,あちこち探すことも度々だった。親孝行をしないうちに亡くなった。今回の映画のシーンを見て,共感することが多く,思い出して胸がジーンとした。自分が忙しい毎日で,母の気持ちに沿えることが出来ていなかったことを悔やんでいる。

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yasumama 一生懸命 尽くしたつもりでも???でも ですがいろいろな事 ああすればとか こうすればよかったと思いますね~~。
墓に布団はかけられずと 昔よく聞きましたが ピンとこなかったけど・・・・。
私、見ながら 何か 心の救いのある歌って なんだろうと 思ったけど 何にも浮かばないのです。
私が母に何度か「秋の夕日にてるやま 紅葉~。濃いも薄いも・・・」って歌ってみたけど・・・

いつの間にか 順番がやってきつつある・・・

お若いうちにやってくる この病・辛かったでしょうね~~。1人で抱え込まないでといっても・・ね~。
今 ファンタジーオンアイス2018静岡 羽生結弦の演技 見てますが 笑顔に癒されます。

楽しい方に目を向けて いきたいですね~~。
yasumamaさんへ
K.N



