

頑固一徹,職人気質で,1人もクビにしたことが無い社長が倒れた。跡を継いだ息子は古い体質を改善しようと大改革を宣言するが,従業員との溝は深まるばかり。リストラに走ると,従業員はバラバラ,倒産の危機に陥る。働けど働けど報われない毎日。東京は大田区の町工場を舞台に,じいちゃん,ばあちゃん,父ちゃん,母ちゃん,若者たちが大バトル。工場の親子三代を軸に様々な価値観がぶつかり合って,見えてきたものは・・・。

「図面を紙飛行機にしてビルの屋上から飛ばすと,翌日には製品となって戻って来る」と例えられた東京・大田区には現在,約4000の町工場があり,日本を代表する町工場の町と呼ばれている。その8割が従業員9名以下の小さい工場で,機械金属加工の工場が多くを占めている。この物語に登場する「奥田製作所」は,そんな大田区の町工場を取材して創作して,金属加工の旋盤加工をする町工場という設定になっていた。私は,以前,東京都品川区に住んでいたので,時々,大田区の町工場の方を歩く機会があったが,成程,そんな小さな町工場が沢山あった。


劇作家:小関直人は東京の大田区で51年間旋盤工をされたそうだ。その間,クビ2回,倒産と廃業1回ずつ経験されている。直木賞,芥川賞の候補に何度もなって,大手出版社から作家一筋で行きましょうと誘われたが,旋盤工に踏みとどまった事が,このシナリオにすごく生かされている。


幕が上がってすぐに,新米従業員が,目に金属くずが入ったと騒ぐシーンがあったが,何人かで押さえつけて目を開けさせる。ベテランの職人が髪の毛を1本抜いてクルッと輪にして,金属クズをひっかけて取って一件落着。作家の小関が新米旋盤工だった時に経験した実話だそうだ。


町工場の舞台装置の中で,21名の登場人物がそれぞれ個性的で,生き生き働いている様子がよく出ていた。世界・日本全体の大きな経済の変動で,小さな町工場はいつもしわ寄せをくってしまう。大企業は,色々恩恵に預かっても,小さい町工場にはしんなものはない。


「働くことは生きること」,「ものづくりは,人の心づくり」だということを中心に据えてシナリオを書かれたそうだ。跡を継いだ息子も,従業員と思いが繋がり,町工場も危機を脱する。

同じセットで,作業服を着た20名の人が演技をし,さらに昔の時代に戻っての演技もあったで,誰がどの役だったかなと混乱する所もあった。高度経済成長時代の右肩上がり,終身雇用の時代は去り,グローバル経済の中で,大幅なリストラや非正規従業員の増加などの問題もある。労働者を余りに粗末に扱っている状況に腹立たしさを覚える昨今だ。


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無題( ^)o(^ )
yasumama 眠くなりそうで なにか 懐かしい思いで鑑賞しました。以前は家内工業的な製作所、そして 商店、何名か抱えて家族同然まではゆかないけど経営をしていた・・ 思いだします。 そして 世代交代・・・我が家にも多少 親子の軋轢はあったような気がします。あの頃でも継ぐって事には・・。
目まぐるしく変化してゆく現代・・・いいような 空恐ろしいような奇妙な気持ちです。
あまりに発展 発達しすぎるのはとか 時代遅れになっている 自分にも 淋しさを感じます。
鈴木瑞穂さん・・存在感がありましたね~。
yasumamaさんへ
K.N
余りに多忙な毎日だったので,注意力散漫で,沢山の出演者が色々な事を言ったり,動いておられるのに,私は,何だかぼーとしてました。昔は,家族だけの零細企業があちこちにありましたね。でもね。
近所でも沢山小売店などがあったのに,今は全然ありません。我が家より上の方はお店がありません。グローバル経済だからと言っても,国の政治はいつも大資本重視です。沢山の人が汗を流して働いておられるのに,大量のリストラも平気で行われます。
みんなの生活が豊かなになるよう,政治をする人は心して欲しいですね。私たちも選挙でそんな方を選ばなくては・・・。
地方も活性化して欲しいですね。我が市は・・・。
yasumama 眠くなりそうで なにか 懐かしい思いで鑑賞しました。以前は家内工業的な製作所、そして 商店、何名か抱えて家族同然まではゆかないけど経営をしていた・・ 思いだします。 そして 世代交代・・・我が家にも多少 親子の軋轢はあったような気がします。あの頃でも継ぐって事には・・。

目まぐるしく変化してゆく現代・・・いいような 空恐ろしいような奇妙な気持ちです。
あまりに発展 発達しすぎるのはとか 時代遅れになっている 自分にも 淋しさを感じます。

鈴木瑞穂さん・・存在感がありましたね~。

yasumamaさんへ
K.N



